さい帯血バンクについて すべて開く すべて閉じるQ1.さい帯血ってなんですか?A1.お母さんと赤ちゃんを結ぶへその緒のことを「さい帯」と言います。そのさい帯と胎盤の中に含まれる血液を「さい帯血」と言います。さい帯血は赤ちゃんが産まれると、へその緒や胎盤と一緒に処分してしまうことがほとんどですが、このさい帯血には「血液のもと」になる細胞(造血幹細胞)がたくさん入っていて、白血病などの病気に苦しむ患者さんの治療に使うことができます。Q2.さい帯血バンクってなんですか?A2.お母さんから提供されたさい帯血を、患者さんの移植に使えるようにするための調製・保存・検査と、移植病院への引き渡しを行っています。さい帯血移植には、患者さんの体重やHLA型*(ヒト白血球型)に適したさい帯血を使います。そのためには、たくさんのさい帯血を保存しておく必要があります。*白血球だけでなく、ほぼすべての細胞・体液に分布し、ヒトの免疫に関わる重要な分子として働いている。Q3.さい帯血バンクと骨髄バンクはどこが違いますか?A3.さい帯血バンクと骨髄バンクは、どちらも造血幹細胞移植を必要とする患者さんのために活動しています。しかし、骨髄バンクは移植に必要な骨髄・末梢血幹細胞の保存をしているわけではなく、登録されたドナーのHLA情報を公開し、移植が必要な患者さんとHLA型が合うドナーを見つけて、骨髄・末梢血幹細胞の採取のための調整(コーディネート)を行います。一方、さい帯血バンクでは事前にさい帯血の調製と検査を済ませて凍結保存しているところが大きな違いです。そのため、骨髄バンクに比べて、さい帯血バンクは、緊急の移植にも迅速に対応することが可能です。さい帯血の提供に関して すべて開く すべて閉じるQ1.なぜ、さい帯血が必要なのですか?A1.さい帯血の中には、赤血球、白血球、血小板などを造ることのできる造血幹細胞(血液のもとになる細胞)がたくさん含まれています。造血幹細胞は人工的に造ることができません。そのため、白血病などで正常に血液を造れなくなった患者さんにさい帯血を移植することで、血液を造る力を回復させることができます。Q2.さい帯血を採取する時、お母さんや赤ちゃんに痛みがありますか。A2.さい帯血は赤ちゃんが生まれて、さい帯(へその緒)を切った後にさい帯に針を刺して血液を採取します。さい帯に針を刺しても痛みはありませんので、ご安心ください。Q3.さい帯血は、どこの産科施設でも提供できますか?A3.さい帯血移植を受ける患者さんの安全を確保するためには、さい帯血の品質管理が必要なため、公的さい帯血バンクと提携している産科施設でのみ提供が可能です。また、提供できる産科施設で提供に同意して頂いた場合でも、医師の判断により採取が行われない場合もあります。Q4.後日、追加検査などをお願いされることはありますか?A4.追加検査をお願いすることは基本的にありません。Q5.提供したさい帯血は優先的に使えますか?A5.提供いただいた方でも特別に優遇することはできません。さい帯血を提供して頂くにあたって、所有権を放棄していただきます。Q6.提供したさい帯血を、返してもらう事はできますか。A6.提供して頂いたさい帯血をお返しすることはできません。移植を必要とする患者さんのために使用するという同意書にご署名いただき、提供して頂いたさい帯血が移植に使用されることが決まった後は、同意を取り消すことはできません。さい帯血移植に関して すべて開く すべて閉じるQ1.HLA型とはなんですか?A1.HLA型は、白血球の血液型として1954年に発見されましたが、ほぼ全身の体細胞でも発現しており、ヒトの免疫に関わる重要な分子として働いていることが明らかになりました。輸血の際に血液型を合わせる必要がありますが、それと同様に移植の際には、患者さんとドナーのHLAを合わせます。HLA型は、A,B,C,DR,DQ,DPなど多くの遺伝子座から作られる抗原の組み合わせで構成され、さらにそれぞれが数十種類の異なるタイプ(アリル)をもち、その組み合わせは、数万通りともいわれています。さい帯血移植の場合にはA,B,DR座の2種の抗原(父親・母親由来)、計6抗原のうち、一致しないものが2抗原以内の場合に移植が出来ます。なお、骨髄移植では6抗原一致が原則であり、ドナーを見つけるのが大変です。Q2.GVHDとはなんですか?A2.GVHD(Graft Versus Host Disease)とは移植片対宿主病のことです。移植されたさい帯血(移植片、Graft)が患者さんの体に生着してからHLA型が異なる患者さん(宿主、Host)の皮膚や臓器の細胞を異物とみなして攻撃免疫反応をおこしてしまう病気のことです。Q3.さい帯血移植までに、どれくらいの日数がかかりますか?A3.さい帯血提供依頼があってから、さい帯血バンクでは移植に用いられるさい帯血のHLA型や、さい帯血の血液を作る能力などを再確認をします。これに約2週間かかりますので、依頼から出庫まで通常は2週間以上必要です。しかし緊急時にはHLA型の再確認と細胞生存率など短時間で出来る検査のみをして、出庫後に時間のかかる検査結果を移植病院へ報告することも可能です。実際に中部さい帯血バンクでは、緊急時には2,3日で提供しています。(放射能漏れ事故やバンクドナー不具合等)